予防接種

お子さまの予防接種について

予防接種

赤ちゃんや幼児は、免疫(様々な病原体に対する抵抗力)が未熟です。そのため、出生してから数か月が経過し、母親から授かった免疫力が弱まってくると、感染症などに罹りやすくなってしまいます。また、この時期に病気に罹ってしまうと、生命の危険にさらされたり、重い後遺症が残ることもあるので注意が必要です。

そういった感染症のリスクを軽減するには、病原体(ウイルスや細菌)に対する免疫を作り出すワクチンを接種し、病気に対する抵抗力を高めることが大切です。これにより、感染症に罹らないようにしたり、罹ってしまった場合でも重症化しにくくなる、といった効果が期待できます。
また、予防接種を受けられた方だけでなく、感染症が社会全体に蔓延することを防止する意義も持っています。一般的には生後2か月ごろがワクチンデビューのタイミングです。

当院では安心して予防接種を受けていただけるように、予防接種外来の時間を設定しています。日程の合わないこともあると思いますので、御希望があれば、一般診療の時間でも接種可能ですので遠慮なく御相談ください。

個別のワクチンスケジュールを計画します

小児期に受けなければならないワクチンには多くの種類があります。そのため、どのように接種していけば良いのだろうかと判断に苦しむ保護者の方が少なくないと思います。そもそも予防接種のスケジュールを管理することは、慣れない一般の方にはかなり難しいものです。そのようなスケジュール管理についても、当院にご相談ください。お子さま一人ひとりの個別ワクチンスケジュールを計画いたします。

現時点(2021年4月)までの推奨スケジュールが「NPO法人VPDを知って子どもを守ろうの会」のホームページに掲載されています。

ワクチンデビューは、生後2か月の誕生日

生ワクチンと不活化ワクチンについて

生ワクチン: 生きたウイルスや細菌の病原性(毒性)を、症状が出ないように出来るだけ抑えて、免疫が作れるぎりぎりまで弱めた製剤です。自然感染と同じ流れで免疫ができるので、1回の接種でも充分な免疫を作ることができます。ただ、自然感染に比べると免疫力が弱いので、5~10年後に追加接種したほうがよいものもあります。ワクチンの種類によっては、2~3回の接種が必要なものもあります。副反応としては、もともとの病気のごく軽い症状がでることがあります。
不活化ワクチン: 不活化ワクチンは、ウイルスや細菌の病原性(毒性)を完全になくして、免疫を作るのに必要な成分だけを製剤にしたものです。接種しても、その病気になることはありませんが、1回の接種では免疫が充分にはできません。ワクチンによって決められた回数の接種が必要です。

定期接種と任意接種があります

予防接種には、定期接種と任意接種の2種類があります。このうち定期接種は、「一定の年齢になったら受けるように努めなければいけない(接種の勧奨)」と規定しているワクチンです。対象年齢内・規定回数内であれば、基本的に公費で接種が受けられます。

これに対し、任意接種は、保護者の方のご判断で受けるかどうかを決めるもので「任意」となっており、自己負担になります。任意接種の対象となる病気は、発症しても生命に及ぶ危険性は少ないと言われていますが、おたふくかぜ、インフルエンザに関しては重症化する小児もいますので、接種を受けられることをお勧めします。

定期接種の種類

ヒブワクチン(不活化ワクチン)
  • ヒブ感染症(インフルエンザ菌b型による感染症)を予防するためのものであり、細菌性髄膜炎や急性喉頭蓋炎などのリスクを軽減できます。
  • 生後2か月から接種できます。初回接種から4週以上の間隔で計3回、追加免疫として3回目から7カ月以上あけて1歳以降に1回接種、計4回の接種が推奨されています。
  • 2024年4月からは4種混合とヒブワクチンを混合した5種混合ワクチンが導入されました。2024年2月以降に生まれた赤ちゃんは原則として5種混合ワクチンとして接種します。
小児肺炎球菌ワクチン
(不活化ワクチン)
  • 肺炎球菌による感染症を予防するものであり、細菌性髄膜炎や敗血症、肺炎などのリスクを軽減できます。
  • 生後2か月から接種できます。初回接種から4週以上の間隔で計3回、追加免疫として3回目から60日以上あけて1歳以降に1回接種、計4回の接種が推奨されています。
B型肝炎ワクチン(不活化ワクチン)
  • B型肝炎ウイルスによる肝炎や将来の肝硬変、肝がんのリスクを予防するワクチンです。
  • 生後すぐからの接種が可能ですが、他のワクチンに併せて生後2か月からの接種が一般的です。初回接種から4週以上後に2回目接種、2回目から4~5か月の間隔をあけて3回目の接種が推奨されています。
5種混合ワクチン(不活化ワクチン)(及び2種・3種・4種混合ワクチン)
  • ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ(小児まひ、急性灰白髄炎)、ヒブ感染症(インフルエンザ菌b型による感染症)を予防するワクチンです。
  • 1期:生後3か月から接種できます。初回接種から3~8週間隔で3回接種、3回目終了後1の6~18か月後に4回目の接種が推奨されています。
  • 2期:11歳から、2種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)を1回接種します。就学以降の百日咳の予防のために、2種混合ワクチンに代わって3種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳)を任意接種で接種することも可能です。
  • ※就学時前の接種(任意接種):百日咳ワクチンの抗体は小学校入学前に低下するため、百日咳の感染を予防するために、WHO(世界保健機構)ではMRの2期に合わせて三種混合ワクチンの接種を推奨しています。とくに乳児への家族内感染が心配な場合は、4歳以降での接種が推奨されています。当院でも、希望があればこの時期の任意接種が可能です。
ロタウイルスワクチン(生ワクチン)
  • ロタウイルスによる胃腸炎や脳炎を予防するためのワクチンです。経口ワクチン(口から飲むタイプ)です。ロタリックスとロタテックがありますが、臨床効果に違いはありません(製薬メーカーが異なります)。
    ※当院では、基本的にはロタリックスを接種していますが、希望があるようならロタテックの接種も可能です(いずれも公費接種です)。

ロタリックス

  • 1価のワクチンです。生後6週以降に接種できます。4週間以上の間隔をあけて、24週(168日)までに計2回接種します。

ロタテック

  • 5価のワクチンです。生後6週以降に接種できます。4週間以上の間隔をあけて、32週(224日)までに計3回接種します。

ロタウイルスワクチンに共通する注意事項

  • 腸重積症の副作用のリスクを少なくする目的で、初回は生後14週6日までに接種することが推奨されています。
  • 接種前後30分は授乳が出来ませんので、ご注意ください。
  • *腸重積症:子どもに多い病気で、腸が腸の中に折り重なるように入り込み、腸閉塞を起こします。多くは、原因は不明です。いちごゼリー状の血便、5~10分おきに不機嫌で顔色が悪くなるなどの症状が見られ、救急外来受診が必要です
BCGワクチン(生ワクチン)
  • 結核を予防するワクチンです。細9本の針を皮膚に押しつけるスタンプ方式の予防接種です。接種部位が乾くまで、さわらないようにしましょう。
  • 生後5~7か月の間に1回の接種が推奨されています。
  • 大阪市では令和3年10月より委託医療機関でのBCGワクチン個別接種が可能となりました。当院も委託医療機関に指定されており、接種可能です。
  • 2~3週間後にぽつぽつとはれてきてうみが出ることもありますが、数か月で自然に治ります。塗り薬や貼り薬はつけないようにします。1%以下の少ない頻度ですが、接種して1~2か月してから脇の下のリンパ節がはれてくることがあります。その場合には当院まで受診されてください。
水痘ワクチン(生ワクチン)
  • 水痘(みずぼうそう)を予防するワクチンです。従来は小児を中心に非常に多くの罹患者がいましたが、2014年10月から定期接種となり、水痘の発症者の減少が期待されています。
  • 生後1歳以降に1回目、初回接種後3~6か月後に2回目の接種が推奨されています。
  • 1回だけの接種では数年以内に約20~50%の人が発症するとされており、ワクチンの効果を確実にするためにも2回の接種が推奨されています。
MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)(生ワクチン)
  • 麻疹(はしか)と風疹を予防するワクチンです。
  • 1歳を過ぎたら早期に1回目を接種、小学校入学の前年(5~6歳、幼稚園や保育園の年長クラス)の1年間に2回目の接種が推奨されています。万一、この1年間に接種しなかった場合は定期接種の扱いとならず、接種費用も自己負担となりますのでできるだけ早く2回目を受けることが大切です。
日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)
  • 日本脳炎を予防するワクチンです。
  • 一般的には3歳で1回目、4週あけて2回目の接種をし、追加免疫として、2回目から約1年後に3回目、9~12歳の間に1回の計4回の接種が推奨されています。
  • ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することが推奨されており、西日本はその地域に該当するとされています。そのため、当院としては生後1歳以降の接種を推奨しています。
子宮頸がん予防ワクチン(不活化ワクチン):HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン
  • 子宮頸がんなどを起こすヒトパピローマウイルスの感染を予防するワクチンです。
  • 定期接種の対象年齢は小学6年生~高校1年生相当の女子です。当院で採用している9価ワクチンのシルガード9の場合、初回接種年齢によって接種回数が異なります。
  • 初回接種年齢が15歳未満の場合:2回の接種が必要です。初回から5か月以上(標準的には6ヵ月)あけて2回目の接種になります。
    ※希望される場合には15歳以上の場合と同様に3回接種も可能です。
  • 初回接種が15歳以上の場合:3回の接種が必要です。初回から1か月以上(標準的には2か月)あけて2回目、2回目から3か月以上(標準的には4か月)あけて3回目の接種になります。

任意接種の種類

おたふくかぜワクチン(生ワクチン)
  • おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)を予防するワクチンです。
  • 1歳から接種可能です。1回目の接種の数年後に2回目の接種を受けることが、しっかりと免疫をつけるために推奨されています。MRワクチンと同時期(1歳および小学校入学前年)に接種を受けるのがおすすめです。
インフルエンザワクチン
(不活化ワクチン)
  • インフルエンザを予防するワクチンです。
  • 予防効果はほかのワクチンと比べてそれほど高くなく、子どもの場合、A型では予防効果があるのは30~50%程度で、B型ではさらに効果が低くなります。インフルエンザワクチンは発病予防だけでなく、重症化予防として接種することが推奨されます。ワクチン接種によって脳炎などの重症化に効果があるとされています。
  • 生後6か月~12歳まで(13歳未満)は、2回の接種。13歳以上は1回の接種が推奨されています。
A型肝炎ワクチン(不活化ワクチン)
  • 発展途上国にでかけたり、長期に滞在する場合は、お子さんでも必ず受けて下さい。
  • 衛生状態がよい日本では感染のリスクは高くありませんが、汚染された食べ物から感染することが多いため、発展途上国にでかけたり、長期に滞在する場合は、接種が推奨されています。米国では生後1歳からの定期接種(義務接種)です。
  • 1歳以上であれば2~4週間の間隔で2回接種し、その約半年後に3回目を接種します。
髄膜炎菌ワクチン(不活化ワクチン)
  • 米国や英国、オーストラリアへの留学(特に入寮する場合)の場合、感染リスクが高くなりますので、接種が推奨されます。米国では、感染リスクが高い10代後半から20代の感染予防のために定期接種となっています。
  • 2歳以降に接種できますが10代後半の接種が一般的です。1回接種になります。
  • ふうせん
  • ふうせん
  • うさぎ
  • りす
  • どうぶつ